2012年12月31日月曜日

本:人事部は見ている。

 サラリーマンとしては、いろいろな不満のある人がほとんどではないでしょうか。特に人事的な不満感(異動や評価に対する不満感)は多くの人が持っているのではないかと思われます。
人事部ってどんなことをしているのかを垣間見ることができる内容の本です。
面白いと私が思った部分は以下の通りです。


■大きな組織では伝聞情報が社員の処遇や昇格に影響を及ぼしている[p.76]。
社員数が多すぎると、すべての社員情報を直接人事部が把握できないために、「噂(=伝聞情報)」に基づいて処遇が決められることもあるようです。事実、大企業ではありうると思います。このことはすなわち、サラリーマンとして「上」を目指すならば、悪い噂が立たないようにすることが必要であることを意味しています。また、特にへまをしていない人が偉くなる傾向(すなわち、減点主義の世界)を裏付けていると思います。


■サラリーマンの世界は上司の「ヒキ」を中心として組織が成り立っている[p.118]。
結局は上司部下の関係において、良好な関係がなければ昇格はあり得ないです。わたしも単なる「ごますり」には反対ですが、上司のご機嫌を適度にとることも世渡りの技術としては必要ではないでしょうか。


■内部で政治的な力量については、具体的に①~③が書かれています[p.123]
①上司に対する接し方
上司の得意不得意を観察し、定期的に「報告」する。また、「相談」という形で上司からの意見を引き出す。

②他部課のとの調整は必須
社内での調整と、そのなかで誰が「キーマンなのか」を押さえて、障壁を取り除く。

③上司の枠内に収まる能力
上司よりも偉くならないことを示さないと、自分の立場が脅かされる。

①に関して「察する力」が重要であると述べています。以前、私の同僚が上司から「なんでこうしないんだ」と非難された際に、後でその同僚が私に、「俺は超能力者じゃないから、ちゃんと言ってもらわないとわかるはずがない」とこぼしていたのを思い出します。平たく言うと「気がきく」能力でしょうか。②は当然のことでしょう。③は言われれば納得できます。仮に自分が社長で長くその位置にいたいのに、自分の席を脅かす人間を引き上げるのか? 能力のある人が組織内であまりにもそれを強調しるぎると偉くはなれない可能性を示唆しています(そんな人はサラリーマンを続けずに独立することを個人的にはおすすめいたします)。


■その他、人事部の役割と、会社‐従業員との関係の変化に考察されています。日本での終身雇用を前提とした仕組みから、景気の後退した現在は、変化の過渡期であると思います。


スポーツをするには、それに合った攻め方で、そしてそのルールに従うことが必要です。サラリーマンとして大きい組織で生き延びるためには、そこでのルールや攻め方を熟知することが必要です。だから、こうした本で人事部の実態をみてみることも重要なのかなと思います。


2012年12月30日日曜日

蔵書のミニマリズム作戦

 これまで、本を読むことはよいことだと固く信じてきた。知らないことを経験できたり、知識を広げたりすることに読書が役立ってきたのは間違いないだろう。しかし、インターネットの普及によりその状況は一変した。一番感じている違いは辞書や辞典によって何かを調べることが圧倒的に少なくなったという事実である。わからないことがあれば、すぐに検索エンジンで調べられるし、また、その範囲には国境がない。さらに、掲示板やお助けサイトの世話になれば、知らないひとから親切に教えてもらうことさえも可能である。
 辞書、辞典類が紙である必要が全くなくなり、やたらと分厚く重たいという物理的なデメリットからこれらの辞書類は開放された。
 では、一般の書籍はどうか? やはり本も電子化への流れはとまらないであろう。その理由として、日本でみるとKindleの発売が大きいと思う。なぜならば、「書籍」を販売してきたアマゾンが、印刷物ではない本を発売し始めたからである。

個人的には「紙」の本への愛着はあるものの、ついに紙ベースの本を極力やめるようにすることにした。理由は以下のとおりである。
1.物理的なスペースが確保しがたい.
 単に住まいが狭いという理由による
2.長期保存による劣化の可能性がある.
 再生紙を利用している本が黄ばんできている
3.検索のしやすさ
 電子ファイルであれば、さまざまな検索条件で必要な本を探せる

本を持っていることと、本の内容や知識を吸収して生かしているかとは必ずしも一致しない。また、本の装丁やデザインという点を除くと、本を読む理由はその中身にある。だから、中身さえあればよく、また、別に本をずらりと並べて飾ることは必要ないのではないかと思えてきた。
 この点に関してはranさんのブログで三国志の一場面が引用されており、興味深い。

http://english-q.com/article/tadokist/4374/
そこでは「図書室」なのに本がなく、本の中身はすでに読んだので、別に本が存在している必要がないという場面が紹介されている。

そう言われると、自分の場合でも本を買った時点で満足し、その中身を吸収できたかわからない場合もあった気がする。(ただし、専門書など、ときどき必要なことを見たい本では、買って持っておくことにも意味がある。)

 そこで、所蔵本を、電子化するか、そのままとっておくか、廃棄するかの3つにわけることにした。電子化はいわゆる自炊による自分でやることも選べたが、手間や初期投資、そして、自炊のための道具をそろえると結局部屋の収納スペースが必要であると思われたので、自炊代行の「ブックスキャン」にお願いした。
ブックスキャンでは、大量にスキャン(月に50冊)を依頼するのであれば、価格と納期の点からプレミアム会員がお勧めである。私の場合には200~300冊を見込んでいるので、プレミアム会員で毎月50冊ずつを電子化している。

また、廃棄(不要)本は、リサイクルショップに運ぶのも大変なので、「ブックオフオンライン」に依頼した。


ブックオフオンライン

ブックオフオンラインでは、集荷を依頼すれば着払いでの発送が可能なので、特に引き取り価格にこだわらないのであれば便利である。なお、査定額が気に入らない場合には、売らずに手元に戻すことも可能である。


しかし、やはり長年の習慣なのか、ブラリと本屋によっていろんな本を手に取り、たまには買いたくなる。まあ、買った分だけを手放すようにするしかないか。

2012年12月24日月曜日

本:「銅メダル英語」をめざせ!

銅メダルがあれば、当然、銀メダルや金メダルもあるわけで、もちろんそのことについても言及されています。「銀メダルレベル」であれば駐在員上位の語学力で英語で考えることのできるレベル、そして「金メダルレベル」であれば、会議通訳者でも活躍できるレベルであると規定しています。結論としては、フツーに英語をビジネスで必要としている人であれば、「銅メダル」レベルの英語をめざせば十分で、「極める」必要性はないというのが本書の趣旨です。

 具体的な学習法のひとつとして「ひらめき法」が紹介されています[p66] 。第1段階としては自分の思ったこと、そして、その次の段階として、目に見えたことを英語で表現する訓練が勧められています。この方法は、私の記憶が正しければ大前研一氏も言っていたと思います(通勤電車の車窓から見える風景を英語で描写してつぶやく方法だったような)。

 本書は基本的には英語をあくまでもコミュニケーションの道具として使うことが強調されており、その点は全くの同感です(実用的な英語を目指すほとんどの英語学習者は、英語は「コミュニケーションの道具」であるとする考え方に異論ないと思います)。
英語を道具としてみることに関しては、「英語で話すヒント」という本(「英語を話す」としていないのがミソですね)もありましたので、また、紹介したいと思います。

 本書では、英語の勉強を楽しく続けることが強調されています。(まあ、英語に限らずいかに「楽しく」勉強するかは重要な課題ですね)。で、シットコムドラマのフレンズが推されています。順序としては、
 ①字幕なしでみる
 ②字幕なしでこれ以上聞いてもわからないというレベルまで見る
 ③最後に英語の字幕をみて確認する
なお、私もこの方法でチャレンジしていますが、2-3回は字幕を見ずに英語音声だけで聞きとろうとすると、わからない部分が明らかになります。
(フレンズにようる英語学習に関してはウェブサイトがあるのでそちらを御参照ください。)
最初に日本語字幕をみて、概要を押さえたほうがよいという人もいるので、①→③の順序はそれぞれ変わってくると思います。

で、銀メダルレベルをめざすためには、どのくらい英語と触れあえばよいのかも具体的に書いてあります。著者の場合、Time誌の全体の8割である40ページを毎週読むことを実践したらしいです[p212]。さすがに「銀メダル」レベルでは、楽しく勉強を続ける領域からは離れている気もしますが、やはり一朝一夕には行かないのでしょう。

 結局は英語で何を、どのレベルでやりたいのかで勉強法も変わるし、あくまでもコミュニケーションの道具であれば、日本語を使う場合と同じなのではないかと思います。
また、英語(文化)であってもタテマエとホンネがあり、むしろ日本のものよりも建前と本音がはっきりと存在するのではないかと考察しています[p100]。結局は、言葉だけの意味合いではなく、「空気を読む」ことも日本語だけの特別な事情ではないと思います。

「一体何年英語を勉強すれば終わるのか」と悩んでいる方にはお勧めの1冊です。



2012年12月23日日曜日

本:仕事に生かす〈論理思考〉

著者は経営コンサルタントで、この本は「このまま勤め人をやっていてよいのだろうか」といった疑問を感じた際に役立つと思います。「楽しく悩む方法」も記述してあります[p99]。
以下、「3点発想」と「秘書の知恵」について紹介します。

■3点発想[p54]
「ヘーゲルの弁証法的思考」では固いので著者はこう呼んでいます。
具体的にAという意見に接したときに、以下のように考えよ、としています。
 ①その意見は常に例外なく正しいか?
 ②前提条件にあいまいな部分はないか?
 ③アンチAはどのように表現できるか?
 ④AとアンチAを統合するとどうなるか?
Aの視点、それに反するアンチAの視点、そしてそれらを統合する視点で「3点」です。
賛成か反対かなどの2つを提示されると、それ以外の選択肢がない錯覚に陥る危険性があり、交渉の技術でも使われていますが、その手にはまらないためにも有効な発想だと思います。小泉元首相の郵政民営化に賛成か反対かのキャンペーンを思い出します。

この3点発想に対するトレーニング法には以下の3つが示されています。
 ①3つある、と切り出す[p61]。
例えば、スピーチを頼まれて何かいうときに、とりあえずは3つの項目がなくても「言いたいことが3つあります。」と切り出すことが勧められています。で、まあ3つなくても先に言っちゃって考えろというノリです。それによって論理的に話ができるようになると説いています。

 ②3つのキーワードを意識して傾聴する[p64]。
話しを聞く際に、Yes、No、そしてSoWhat?を意識することが勧められています。相手の話に賛成できる部分、反対あるいは疑問に感じる部分、これらのYesな部分とNoのを選り分け、そこからどのような結論が得られるのかを考えるという流れを意識しろと言っています。

 ③3つの要素でキーワードを作ってみる[p65]。
物事は3要素で成り立っていることが多いので、行動指針などでオリジナルの3原則をつくれば人にも伝わりやすいし、同時に作り手にとっても思考訓練となると言っています。具体例として、
 「真・善・美」(プラトン:哲学者)
 「清く正しく貧しく」(アウグスティヌス:神学者)
 「edge, energy, empowerment」(ジャックウェルチ:GEの元会長)
が挙げられています。
 そういわれれば、
「心技体」、「守離破」などは3つの要素をコンパクトに表していると思います。かつては3高(高学歴、高収入、背が高い)というのが話題になりましたが、マスコミが作ったわかりやすい概念でした。同じ路線でいくと3S (整理・整頓・清掃)が社会人にはなじみがあるかと思います。余談ですが、ネットで検索すると「3S政策」なんてのもあったのですね。
「Sex & Drugs & Rock’n Roll」も3要素といえますが、3高と同じく語呂のよさ重視と考えられます。

■秘書の知恵[p70]
秘書が役員からの指示にどう従うかの指針の話が紹介されています。
で、それをそのまま引用すると、
①間違いのなさそうな指示、急を要する指示にはすぐに従う。
②朝令暮改になりそうな指示、急を要さない指示はしばらく寝かせる。
③感情的になされた指示、その場の勢いによる雑言は聞き流す。

 これらの指針は、私の個人的な経験上、そのまま、上司の指示にいかに従うかにも当てはまります。特に、指示を寝かせるかどうかの判断は重要で、すぐに対応しなければならない指示は寝かせてはいけないし、また、寝かせるべき指示にすぐに対応すると、結局やる必要がなかった際には「無駄」に時間を取られます。少なくとも同じ指示を3回以上されると、それは上司の思いつきではないので、対応が必要です。②か③かの判断はよほど上司が優れていなければ部下の能力に依存するので、それなりの訓練や才能が必要だと思います。

経験上、この「秘書の知恵」は生きる上で大切な技術ですが、果たして学校教育で得ることのできる知識であるかはわかりません。世の中の「グレーゾーン」(英語ではgray area)を学校で教えるのは
難しいでしょうね。

悩める(若き)勤め人にお勧めの1冊です。





2012年12月15日土曜日

「怒る技術」 安藤 俊介


 ビジネスマン、特に管理的な立場の人に役立つ、怒りを感じた時の対処やどのようにして怒りを「伝えるか」についての内容です。怒りの感情を消し去るのではなく、例えばその怒りの対象から遠ざかることも対処の一つとして挙げられています(電車のなかでマナーの悪い人に遭遇して腹を立てた場合に、その人に注意するのではなく、乗っている車両を変えて対処するなど)。
 やはり有効なのは、怒りの感情を「可視化」「具体化」「定量化」してみる技術で、感じた怒りをスコア化して記録しておくという技術は実際的だと思いました。人間、生きている限りは大なり小なり「怒る」ことはあるので、それとうまく付き合う具体策をいくつか示している点で有用な本であると思います。
昔の学校教育であれば、「むやみに怒らず、みんなと仲良くしましょう」と教えていたのでしょうが、最近はどうなのでしょうか。よほど悟りの境地に至っている人でもなければ怒りゼロは現実的でないので、日々生じるであろう「怒り」をコントロールする技術を学校で教育することも必要かもしれません。アメリカプロフットボール(NFL)のルーキー選手に怒りのコントロール教育をしているという話が盛り込まれていたのは興味深かったです。
感情のコントロールという点では、自分の感情を客観的にモニターすることが大切だと思います。


2012年12月9日日曜日

本:アメリカのビジネスマンの闘い方

 雇われの身のサラリーマンであれば、当然、職場でのさまざまな軋轢やストレスは避けられないと思います。部下が上司に対して不満を持つのが最も一般的な事例でしょうが、同時に上司が部下に対してストレスを感じることもあるでしょう。さらに、いわゆる「中間管理職」の人たちは、上司からのプレッシャーに加えて部下からの突き上げにあう立場であり、大変だと思います。

  そうした環境は日本だけでなく、アメリカでも似ており、言ってみれば「戦場」である職場でいかに「負傷せずに」あるいは「致命傷を負うことなく」生き残るかに関して、この本は一つの道筋を示しています。本書のよいところは、職場で遭遇するであろういろいろな悩みに対して、比較的実際的なアドバイスを記述している点です。また、それらアドバイスが他書の引用に基づく場合、その引用元が書いてあるので、職場の悩みに対するノウハウ本の「総説」としても活用できる点にこの本の良さがあります。ただし、「第9章ITで武装する法」の記述の古さは否めませんが(本書は2001年の出版)、それでも、その他の内容に関しては、今読んでも十分に適用できます。現実に職場で困った際にこの本の該当する章をみれば問題解決への一助になるでしょう。

  「第4章 管理職のサバイバル法」では、管理職は部下をコントロールすることだけではうまくいかず、部下がレーサーならば、管理者はピットクルーであると例えられています。支援を惜しまず、ゴールを示し、ガソリンを補給する(=部下に十分な情報を与える)ことがピットクルーに必要であると述べています。また、「ゴールに到達したらトロフィーを与えているか?」と述べられており、例えばプロジェクトが終わったら休暇、昇給などの何らかの報償を与えたり、あるいは直接褒めることの重要性を述べています。子供がささいなことをうまくできて褒められるがごとく、大人であっても褒められることを望んでいるといったことが他の本でも書いてあったと記憶しています。確かに、以前、やたらと褒める上司と仕事をした時期があり、気分良く仕事を進めることができた経験があります。たいていは「おお、いいじゃない~」(音で伝えられないのでニュアンスが表現できませんが)といった軽いノリでしたが、大人になるに従い、直接的に褒められることが少なくなるので、言葉で褒められることのありがたみや効果は大きいのかもしれません。




2012年12月2日日曜日

ブログの目的(仮)

たいてい、新しいことをはじめるのは新年1月1日が普通かと思います。
今年2012年の1月から、「英語でブログを始めよう」と決意し、開始しましたが、あえなく2月で挫折しその後更新していません(そのブログの残骸もこちらでそのうち引き継ぐ予定です)。
ふと、「新しいことを始めるのに、新年を待つ必要がない」と気づき、この中途半端な12月2日からこのブログを開始することにしました。

このブログでは、私kapiが読んだ本のレビューやそこから考えたこと、語学学習について記述したいと思います。
しかし、どれだけここに書いた目的に沿えるか自信がないので、「ブログの目的(仮)」としています。

ここでは、読者の皆さんに役立つことを目的とし、日々遭遇する不満や言いたい悪口の類は書かないつもりでいます。