2013年10月27日日曜日

「ブラジルを知るための56章」アンジェロ イシ

前回に引き続いて今回もブラジルの概要を知るためにこの本を読みました。第2版では、2009年末までの情報がカバーされています。

前回の「ブラジルの流儀」では、日本人からの視点で語られていたのに対し、こちらでは日系3世でジャーナリストの立場からみたブラジルが語られています。
犯罪率の高さと治安の悪さに関しては同様に述べられているものの、夜間の信号無視が「常識」かどうかは少しニュアンスが異なり、こちらでは「停車中に強盗に襲われるのを避けるため赤信号を無視して走る運転手もいる」とは記述されています。どの程度の深刻さかは、場所によっても変わるのでしょう(いずれにしても物騒ですが…)

以下、面白いと思った章についてです。

第9章 祝日でわかるブラジルの社会
ここで紹介されていた、日本では馴染みのない祝日は以下のものです。
 ゴールキーパーの日 4月26日
 召使の日 4月27日
 姑(舅)の日 4月28日
 UFOの日 6月24日
 学生の日 8月11日
 未婚者の日 8月15日
 銀行員の日 8月28日
それぞれに「由来」があるのでしょうが、詳しくは述べられていません。「UFOの日」は気になります。


第15章 カーニバルに関する「定説」
「カーニバルではいつも人が大勢死ぬ?」や、「多くの貧民はカーニバルの衣装のために1年間の貯金を費やしてしまう?」という定説の誤りが指摘されています。前者の定説については、誤りであることが「ブラジルの流儀」でも書かれています。


第16章 何でもジョークにできる国民性
かなり下品なジョーク(「ピアーダ」と呼ばれる)でも受け入れられる文化であることが述べられています(日本に住むブラジル人もそう言ってました。)具体的には、かなり辛辣なジョークであっても、笑い飛ばせる文化のようです。
「17章」にいくつかの例があり、その一つは、以下です。
カミカゼ(特攻隊)のインストラクターが弟子たちを前にこぼす言葉。
「デモンストレーションは”一度しかやるつもりはない”から皆よーくみておけ!」
おそらく、このピアーダに対してブラジルでは大爆笑なのでしょうが、特に日本ではどうなんでしょうか。他に、いわゆるエスニックジョークに近いものもあるらしいですが、それらがどの程度許容されるかは、その国の文化に依存しているのでしょう。福島原発事故に関して、フランス(だったか?)の風刺画が物議を醸し出しましたが、ブラジルが日本の立場だったならば、ブラジルではジョークとして笑い飛ばされていたのでしょう。


第44章 「ジェイチーニョ」という哲学
 「ブラジル流の問題解決法」で、裏金を使ったり、コネを使ったり、裏から手を回して物事を何とかする文化があるみたいです。だから、いろんな面倒くさいことや役所の手続きをする代理人である「デスパッシャンテ」という職業が成り立っていると述べられています(「ブラジルの流儀」でも触れられていました。まさに「流儀」と呼べそうです。)
おそらく、ブラジルでビジネスをしたり暮らしたりする場合には、必然的に直面するのでしょう。「郷に入れば郷に従え」です。


各章の最後には文献が紹介されているので、興味のあることに関してさらに深く知ろうとする時にはよい道しるべとなるでしょう。

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