2013年9月29日日曜日

"Shelve Under C: A Tale of Used Books and Cats" Jenny Kalahar

 古本屋で、一時的に預けられているネコが話の中心です。また、ネコのほかに、その本屋で本屋の主人から古本を見極める技を教えられる少年の話がうまく絡められています。なので、本のタイトル通りの「ネコ一色」の内容ではありません。
ネコたちは、どこかに引き取り先を待つために、一時的にその本屋で飼われており、また、その少年も両親を事故で失っていることから、どちらも孤児(ネコは「孤児」と呼べない気はしますが)である共通点を持っています。ネコのしぐさや動作はよく描かれていますし、さらにその少年の心理的な描写がこの本の面白いところでしょう。



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個人的には初めて見た表現を以下にまとめてみました(カッコ内は本文の位置番号)。

■higgledy‐piggledy:ひどく乱雑に
One of his arms was up and the other down and his legs were all higgledy‐piggledy, [No.821]

■get the boot:首になる
I worry all the time, like I'm going to get the boot cause they're going to decide they don't really want me.[No.1212]

■pinch one's lips :口をぎゅっと閉じる(抑圧した怒りや不機嫌の口もと)
At this, the boy pinched his lips together tightly and tried not to show emotion.[No.1699]

■walk on air:うきうきした心でいる。有頂天になっている。
Kris walked on air all the way home. [No.2085]


次にこれらの表現に出会った際には、再び辞書で調べないように覚えておきたいものです。

2013年9月23日月曜日

「マネジャー13の大罪」 W.スティーヴン.ブラウン

以前に、「マネジメントとは何か?」と問う上司がいました。彼は「部下を管理すること」と信じていたようで「マイクロマネジメント」を頭に描いていたようでした。「それは違うんじゃないか?」という単純な疑問から買ってみた本のうちのひとつがこの本でした。

この本の初めのほうに書かれてますが、「こうすればうまくいく」という視点ではなく、「こうしたらダメなんだ」という視点で語られている点が、少し変わっています。「過去の成功例をトレースしても普遍的でないことが多いが、過去の失敗例は共通して使えることが多い」というのは同感です。大体、「成功の法則」は、後付け、すなわち、過去の成功を後で説明するから成り立つと思われるからです。

その13の大罪(原題では13 fatal errors)とは、以下です。
1.結果に対して責任をとらない
2.部下の育成を怠る
3.やる気を起こさせない
4.組織内での立場を忘れる
5.部下と1対1で接しない
6.利益の重要性を忘れる
7.問題点にこだわりすぎて目的を見失う
8.部下との間に一線を引かない
9.目標達成基準を設けない
10.部下の実務能力を過信する
11.部下のたるみに目をつむる
12.成績のよい部下だけに目をかける
13.アメとムチで部下を操ろうとする
「4.組織内での立場を忘れる」の「立場」は、「マネジャーであれば、経営側の立場でいる」いう意味です。この章では、「代名詞病」という面白い表現がでてきます。「代名詞病」とは、組織内の上層部や経営側に対して「彼ら」という言葉を使う傾向であり、本来であれば「私たち」という代名詞が使われなければならないとしている点です。
日本語の場合には、主語が省略されるのがむしろ通常なので、英語ほどは「主語」が意識されません。しかし英語であれば、その話し手の立場が主語で示されなければならないので、なおさらマネジャーは経営側であることを忘れてはいけないと考えられます。

「5」は、個別に部下を管理する重要性を述べています。「グループマネジメント」は、単にマネジャーが手間を省けるという長所しかなく、時間や手間がかかっても「個性尊重のマネジメント」が必要なようです。一言で「部下」といっても、人間それぞれ能力や考え方、ものの見方など違うので、個別に接して、管理のやり方を変える必要があるのは当然でしょう。そういった、相手によってやり方を変える必要があるからこそ、マネジメントの難しさがあると思います(画一的な方法があれば、マネジメント能力の優劣は人によってほとんど変わらないことになるでしょう。)

1対1で向き合う重要性がある一方で、部下と近づきすぎて仲間になるのはNGであるというのが「8」です。社員パーティーやクリスマスパーティーで部下と一緒に楽しんでもよいが、その最中でも職業的関係、ビジネス上の関係を忘れてはいけないと述べています。
では、日本の「ノミュニケーション」はどうか?飲み会の席楽しく飲むのはOKでも、マネジャーは部下とは一線を画す(*)意識を強く持つべきなのでしょう。

「11」では部下の仕事が不満足である場合に、それを看過することなく対処することが述べられてます。具体的な対処内容は、一般的なビジネス書に書いているようなこと(人前でなく1対1で対応するとか、感情的にならないとか、具体的な問題点を指摘するとか)です。だから「8」の一線を引くことができなくなると、感情的に甘くなり「11」に陥るのかもしれません。



原書は1991年に発刊ですが、内容的には現在でも通用するものが多いと感じました。

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(*)「一線を画す」を英語でどう表すかが気になり、Weblioで調べてみました。ほぼ、そのままに、“draw the line”と表現できるようです。
draw the line : (idiomatic) To set a boundary, rule, or limit, especially on what one will tolerate.
例文としては、
We must draw the line between public and private matters.(公事と私事を区別せねばばらぬ)

2013年9月16日月曜日

「スーパーホテル」に滞在して、人件費のことを考える

仕事の都合により、2~3週間ほど同じところに滞在しています。最近では、宿泊先をネットで簡単に予約できるので便利です。
滞在しているその北の地方都市には、数件のビジネスホテルがありますが、ここのところ「スーパーホテル」をひいきにしています。

一泊5000円前後(たぶん冬はシーズンオフなのでもっと安いです)で、値段は安いほうでしょう。

以下のような特徴があり、これらが人件費節減に寄与していると考えられます。
  • 部屋のカギはなく、チェックインの際に暗証番号をもらう。チェックアウトの手続きは不要。
  • 部屋に電話がない。すなわちフロントの電話番が不要。
  • 現金支払いの場合には、ATMみたいな機械へ現金を入れる。
  • フロントは7~24時までしか開いていない。

また、ビジネスホテルの機能として「よく眠れる」ための工夫がなされています。
  • 枕の選択が可能。好みのものをフロント横からもっていってよい。
  • 窓のブラインドが完全遮光になっているため、早朝の明るさに邪魔されずに眠れる。
あとは、朝食無料(1階のロビーで、いわゆるバイキング方式で好きなものをとる)もよい点です。


部屋の清掃が必要であれば、10時~15時に部屋を空けなければならないのは不便ですが、(掃除なしで、部屋に居続けることも可)。これは、日本のホテルならば同じかもしれません。決まった時間に集中して清掃をすることが人件費の節約には欠かせないと思われます。


フロントで下記の本が販売されていました。たぶん、この本の中に、スーパーホテルの成功の秘密が書かれているのでしょう。


日本国内でのホテルなどのサービス業は、インターネットで海外の労働力を使う訳にはいかないので、当面は、「いかに労働力を減らせるか?」の傾向は続くでしょう。
しかし、将来、日本が移民を受け入れできるようになった場合には、労働の単価を下げられるので、そこでまた新たなビジネスモデルが生まれるのか、興味のあるところです。

2013年9月15日日曜日

「夏への扉」 ロバート A ハインライン

SFですが、ネコが登場します。ネコ好きにはよくわかるネコの描写がでてきます。(逆にネコ好きでないと全然共感できないかもしれません)。著者がかなりのネコ好きであったことが容易にうかがえます。

例えば、主人公ダンのネコに対する見方として、
「猫にはユーモアのセンスがない。あるのは極端に驕慢なエゴと過敏な神経だけなのだ。それではいったい、なぜそんな面倒な動物をチヤホヤするのだと訊かれたら、ぼくには、なんとも答えようがない。」
という件があります。ネコ好きな私としてはよく理解できます。

物語の前半部分は、SF的な要素がほとんど出てきません。事業のパートナーであるマイルズとベルに裏切られた主人公ダンが、失意のあまり冷凍睡眠を決意し、その際に飼い猫ピートも一緒に冷凍睡眠するように計画します。ただ、その前に裏切りの真相を知るべく、マイルズの家に乗り込み、どのように騙されたかを知るところとなり、冷凍睡眠行きを思いとどまる気になります。しかしベルの策略で、一種の口封じのために冷凍睡眠に送り込まれます。ダンと一緒にいたピートは危うく始末されそうになったのですが、マイルズとベルに引っかき傷を負わせて外に逃げ出します。その結果、ダンは30年間眠り、その間にピートは「もしかして外で野良猫化して、もはやダンとは再会できない?」流れとなり、(ネコ好きであれば)ハラハラドキドキのストーリー展開です(結局はハッピーエンドとなるのですが。)

後半部分で、不本意ながら冷凍睡眠させられて30年後に目覚めたダンが、一種のタイムマシンで再び冷凍睡眠する前にまで戻る展開で、やっとSF的な流れとなります。


「30年後に冷凍睡眠で行って、そこからタイムマシンで30年前に戻り、そして再び冷凍睡眠で30年後に行く」ことをやっているのですが、「過去の自分がいるその時間と場所に、未来からの自分が存在できるのか」については疑問を持ちます。
また、過去を変えると別の未来へ行ってしまう、つまり同じ世界が平行に流れていて、過去を変えると別の平行した世界へいってしまうとも思ったのですが(パラレルワールドだったか…)。そういえば「バックトゥーザフューチャー」でも、過去に戻って将来の両親をくっつけるために奮闘するストーリーだったかな(結婚して自分が生まれないと、将来の自分が存在しなくなる)。

このあたりのツッコミどころはありますが、ネコのからんだSFとしておすすめの本です。
言うまでもないですが、kindle版だとかさばることもなく携帯に便利です。


翻訳でなく、元の英語版で読めば、また違った読み方ができるかもしれません。そのうちチャレンジしたいものですが…