2014年6月22日日曜日

「最高の自分を引き出す法 ~スタンフォードの奇跡の教室 in JAPAN」 ケリー・マクゴニガル


某国営放送の番組でTEDを取り上げている。
その番組で、ケリー・マクゴニガル(Kelly McGonigal)の以下のプレゼンが紹介されていた。

How to make stress your friend
https://www.ted.com/talks/kelly_mcgonigal_how_to_make_stress_your_friend

その彼女の日本での講演がDVD付きの本として出ていたのでそれを購入した。本は英語と日本語で講演内容が文章化されており、本にDVDが付いているというよりは、DVDに和英のスクリプト本がついている感じで、事実「DVDブック」と表示されている。

DVDは日本語吹き替えと、英語音声があり、後者ほうは英語学習にも役立つだろう。話す速度は速いが、非常にクリアな発音であり聞き取りやすい。大学の先生は講義するのも仕事の一つなので、話すのは得意に違いないだろうが。
ただし、DVDでは、講演中に同時に使用されたプレゼンの絵はほとんどでてこず、彼女が講演する姿がほとんどである。したがって、集中しないと内容についていけなくなりそうになった。おそらく、講演会場でプレゼンに使用されたスライドとともに聞けばもう少し理解が容易になるだろう。そのDVDの構成でよい点といえば、彼女の話に耳を集中させつつ、その口元にも注意を払える点であろうか。

「今の自分」のイメージと、「将来の自分」のイメージとを一致させることの重要性は他の本でもよく言われていることだ。ただし、ここで説得力があると思うのは、心理学的な実験に基づいて理論的な裏づけがある点だろう。「低血糖値が脳の判断状態にマイナスの影響を与える」ことに関しても、血糖値を人工的に変化させて調べた実験結果に基づいて論じている。



「意思の力」に関して以下の原書を読んでおけば、英語で聞き取りはもっと楽なはずだと思われるので、できれば、今後読んでみたい。
The Willpower Instinct: How Self-Control Works, Why It Matters, and What You Can Do to Get More of It

2014年6月15日日曜日

「The Great Gatsby」 F. Scott Fitzgerald

キンドルで読んだのだが、残念ながら通勤電車のなかで、細切れの時間を使って読むには難しかった。自分のレベルでは、じっくりと部屋のなかで腰をすえて集中して読まなければ理解できない部類なのではないだろうか。大筋はわかったが、何が面白いのかが分からずじまいでおわったのであった。



この無料版以外にもキンドルで利用可だが、内容に違いがあるかはわからない。なお、映画版は原作と完全に同じではないようだ。
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これまで、知らなかった表現を以下にメモっておきたい。
■lick shoe
「靴を舐める」のは卑屈な態度だとは理解できるが、あまりピンとはこない表現だ。
Weblioで調べると、この小説からの引用と日本語訳があった。
そのままWeblioから引用すると、
"I thought he knew something about breeding, but he wasn't fit to lick my shoe."
「家族を養うことくらいは知ってると思ってたんだけど、あたしの靴を舐める資格もない男だった」
個人的には、日本語訳を見てもすんなりとは理解できないので、原文の難しさは当然であろう。


■throw dust in a person's eyes
He threw dust into your eyes just like he did in Daisy's but he was a tough one.
「人の目をくらませる。人を欺く」
「目をくらませる」→「欺く」という広がりなのだろうが、「欺く」を知らないと難しいだろう。

2014年6月9日月曜日

「猫は音楽を奏でる」 ねこ新聞監修

作家を含めた著名人のエッセイ集で、それぞれの長さは4ページ程度と短い。したがって、本当の細切れな時間に読むのには最適な構成だろう。もともとは「ねこ新聞」に掲載されたもののようだ(「ねこ新聞」なるものがあるとは知りませんでした。)

「猫好き」が読めば、大いに共感することが大いに違いない。また、「非猫好き」が読めば、猫バカとバカ猫の世界を理解する足がかりとなるだろう。

自分の過去を顧みると、飼い猫に影響されたことは否めなく、ひょっとすると人間のパートナー並の影響度があるんじゃないかと思うことがある。このエッセイ集を読むと、猫の影響力はやはりすごいと認めざるを得ない。


【余談】
英語タイトルの副題は、"The cat plays music."とつけられている。
英文法の本を参考にして解釈すると、
The cat plays music.[他の種と区別して、猫というものは~]
というニュアンスなのだろう。

ちなみに、他の可能性としては、
A cat plays music.[いかなる猫でも]
Cats play music.[一般的に猫は(口語的)]
The cats play music.[ある地域にいる、などある特定の猫が~]
があるが、なんとなく、「犬は奏でないけれど、猫は奏でる」意味であれば"The cat plays music"正確な訳なのだろう。

2014年6月1日日曜日

「開高 健 電子全集7 小説家の一生を決定づけたベトナム戦争」

開高健の「輝ける闇」は小説であるが、その元になっているのはベトナム戦争における従軍記者としての経験である。その従軍記者としての期間に書かれたルポルタージュや小説、エッセイを中心にまとめたのがこの電子全集7である。

個人的には映画や小説に対しては2種類の人間がいると思っている。すなわち、同じものを何回も見たり読んだりすることが好きな人間とそうでない人間だ。自分は後者に属するので、同じ映画を何度もみることはまずないし、小説でも同様である。全集のこの巻中のベトナム戦争ルポを凝縮したものとして「輝ける闇」が書かれたことを認識していなかったため、なんだか同じものを読んでいる感じがしたことは否めない。

今や、ベトナム戦争もはるかに昔のこととなってしまった。ルポ以外に、著者が新聞や雑誌に寄稿した記事も紹介されている。それらによって当時のベトナム戦争に対する日本国内の空気を感じることができるであろう。


やはり内容を詳しく読むためにはインドシナ半島の歴史とか、フランスの教養などが必要かもしれないと感じた。図書館にも開高の全集はあるが、同じテーマでまとまって読むにはこのシリーズはよいかもしれない。